インドの教育制度

エンジェルエイド奨学生進学先について

ブッダガヤのエンジェルエイド奨学生は、NGOチルドレンエイドが運営する学校(スーリヤ・バハルティ・スクール、以下スーリヤ校)の卒業生たちです。スーリヤ校卒業後、エンジェルエイドの奨学金のおかげで大学や専門学校等に進学しています。

インドでは10年生終了時と12年生終了時に統一試験を受けます。地元の州立大学へ進学した学生と、CBSE提携の私立校へ進学した学生がいます。地元の州立大学へ進学した学生は、12年生終了時にビハールボードという州統一試験を受けます。CBSE提携の私立校へ進学した学生は、12年生終了時にCBSEの全国統一試験を受けます。その後、それぞれの専門課程に進学します。たいていの場合は、地元の州立大学で教養課程(2年)と専門課程(3年)の合計約5年の大学教育を受けます。CBSE提携私立校で12年生を修了した学生は、地元の州立大学の専門課程に進学するか、工学部や医学部を志望している学生は、各専門学部進学のための全国統一試験を受験し、志望学部への進学を目指しています。

地元の州立大学は、普段の授業がきちんと行われている大学は少なく、授業の中身は、各自が私塾で学びます。CBSE提携の私立校は授業が大変レベルが高く、授業についていくために私塾に夕方や日曜日に通ったり、家庭教師から学ぶ学生が多いです。

州立大学からも正式な卒業証書が与えられますが、州内での効力は高いものの、他の州では競争力が低いです。一方、CBSEの試験結果は大変効力が高く、インド全国どこでも通用します。CBSEの試験を受験することで、他州の都会例えば首都デリーなどの大学の専門課程に進学することも可能性があります。

インドの教育制度(*3)は、州によって様々です。ここでは、エンジェルエイド奨学生が住むビハール州の教育制度について説明します。政府の学校の場合と私立校の場合、NGO支援校の場合があります。

 

<1年生から10年生まで(日本の小学校1年生から高校1年生)>

・NGO支援校の場合

1年生から8年生の教育を受けた後、9年生・10年生の2年間をCBSE(*1)またはビハールボード(*2)に登録し、10年生終了時にそれぞれのボードの修了認定試験を受けます。CBSEは中央中等教育委員会が主催する全国統一の試験で、ヒンディー語とサンスクリット語以外の全ての教科は英語での試験です。ビハールボードの試験は、ビハール州政府主催の州内の統一試験で、全ての教科はヒンディー語での試験です。

エンジェルエイド奨学生の出身校からはCBSEの試験を受験しています。

・政府の学校の場合

1先生から8年生の教育を受けた後、9年生・10年生の2年間をビハールボードに登録し、10年生終了後、ビハールボードの試験を受けます。

・私立の学校の場合

ほとんどの私立校はCBSEと提携を受けています。1年生から8年生の教育を受けた後、9年生・10年生の2年間をCBSEに登録し、10年生終了後、CBSEの全国統一試験を受けます。

<11年生以降の教育>

10年生修了試験の結果を5月末頃受け取り、6月から8月にかけて、希望の進学先に入学願書と試験結果を提出し、合否を待ちます。9月頃に進学先が決定します。ビハール州立の各大学と、CBSE提携の私立校(11年生・12年生飲み)、私立大学の3種類があります。(私立大学は学費が高すぎるため、進学希望者は地元にはおりません)

 

・ビハール州立大学の場合

11年生・12年生(教養課程)と13年生〜15年生(専門課程)の合計5年となっています。(建築系や医学系など、専門分野によって、在学期間は異なります)

教養課程では、文系や理系に別れ、それぞれの主な科目を選択します。

教養課程終了時(12年生終了時)に、ビハールボードの試験を受け、試験結果を専門課程の進学先学部へ提出し、合否を待ちます。

13年生進学時は、専門課程として、それぞれ物理学や化学など、専門の学部に進学します。同じ文系内や理系内であれば、専門課程進学時に専門科目を変更することが出来ます。州立大学はたくさんあり、教養課程から専門課程に進学の際、別の大学に進学希望をすることも可能です。

 

・CBSE提携私立校の場合

11年生・12年生の2年の教育で、CBSEに登録し、12年生終了時にCBSEの全国統一試験を受けます。その試験の結果を受け、専門課程の大学・学部に入学願書を提出し、合否を待ちます。大学専門課程は、ビハール州立の大学へ進学する場合がほとんどですが、一部、デリーやパトナなど都会の大学へ進学を希望する場合もあります。

エンジニアリングや医学コースなど、特殊な学部へは、それぞれの専門分野へ進学するための全国統一試験があり、12年生修了の統一試験に加え、専門分野の統一試験も受け、進学には両方の試験結果が考慮されます。


*1 The Central Board of Secondary Education (CBSE) (中央中等教育委員会)

The Central Board of Secondary Education (CBSE) is a national level board of education in India for public and private schools, controlled and managed by Union Government of India. CBSE has asked all schools affiliated to follow only NCERT curriculum.


*2 ビハールボードとは

ビハールボードとは、ビハール州政府が管轄する試験で、州内の政府系学校から受験します。全ての教科はヒンディー語での受験となっています。


教育委員会・教育担当
行政機関等の名称
および連絡先
連邦政府: Ministry of Human Resource Development(人的資源開発省)
州政府: Department of Education(教育局)等
1.就学前教育
就学前教育は3歳から対象となるが義務ではない。公立の幼稚園はなく、私立幼稚園のみである。費用は月額500~10,000インドルピー程度。スクールバスで送迎しているところもあり、バス代は別料金となる。
2.義務教育
義務教育制度はあるものの公立学校の校舎が不足していることから、授業は午前・午後の2部制をとっているところが多く、また人口増加地区や学校の少ない地区では就学していない児童も多い。
義務教育の学校段階
種類および就学状況
初等学校:5歳~10歳、1年生~5年生(プライマリー・スクール)
上級初等学校:10歳~13歳、6年生~8年生(アッパー・プライマリー・スクール)
※上記は公立学校の例。就学状況は州によって大きく異なる。
カリキュラム・教授言語 公立学校ではヒンディー語ないし現地の言語(連邦または州の公用語)を使用。私立学校では英語で授業が行われている。
義務教育段階の学費 <支払通貨名インドルピー/支払通貨円レート:1.7>
【授業料】
公立学校は8年生まで無料、私立学校は500~20,000インドルピー/月程度
スクール
インフォメーション
 
3.義務教育以降
学校段階・種類 中等学校:13歳~15歳、9年生~10年生(セカンダリー・スクール)
上級中等学校:15歳~17歳、11年生~12年生(シニア・セカンダリー・スクール)
※上記は公立学校の例。
進学状況 進学状況は州によって大きく異なる。